ちょっとそこまで映画を観に行って

映画を観た感想・レビューを書きます。日常から少し離れて、でも気軽に観に行ける映画はいいもんです。

夏の映画鑑賞期間・第二弾『グラン・ブルー』

 

夏といえば海が連想されます。わたしは泳げないので昔から砂浜の近いところで浮輪でぷかぷかと浮かんでいました。今回紹介する映画『グラン・ブルー』(1988、監督:リュック・ベッソン)は、えらい深~いところまで潜りますよ。フリーダイビングに打ち込んだ二人の男たちのお話です。

 

 

ギリシャの島で育った幼馴染のジャック(ジャン=マルク・バール)とエンゾ(ジャン・レノ)。二人とも子どもの頃から素潜りが得意です。

 

 

エンゾはガキ大将的ポジションでみんなの前で潜りを披露していました。一方ジャックは内気な性格で表舞台には立とうとしない、でも素潜りの腕は確かっていう。エンゾはそんなジャックのことを内心認めていました。

 

 

時が過ぎ、二人は大人になります。世界チャンピオンとなったエンゾと、細々と調査の手伝いで素潜りをするジャック。“記録があっても、あいつ(=ジャック)の出場していない大会なんて意味がない!”と思い立ったエンゾは、ジャックに大会に出るよう促します。

 

 

こうして二人は競い合うことになるのですが、いやぁ、この映画で初めてフリーダイビングの大会を見まして興味深かったです。少し昔の映画なので現在は分かりませんが、作中でのダイビングの様子はこうです。

 

 

ダイバーの前に自転車のハンドルみたいな持ち手の機械があって、そいつを握ってガシャコン!っつって潜ります。重いからなのか、その機械に誘導されるようずんずん海の深みを目指します。

 

 

そしたら60m付近で医療班のチェックを受けて、さらに90m付近にも待機しているダイバーがいて選手の記録を見届けます。挑戦者は酸素ボンベなし、自分の息のみでの競技ですから、まさに命がけの大会ですね。

 

 

その大会のなかで、エンゾのジャックに対する勝ちへの執念は並大抵のものではありません。二人とも優れたダイバーで互いの記録を打ち破り合うのですが、ジャックが上回っていきます。なぜかというと、潜水中のジャックの体内では特別なはたらきが起こっていて、もはや人間離れしているのだそう。

 

 

その理由から「もうやめとけ」って周囲から言われます。でもその言葉、エンゾの立場だったら冷静に聞けるでしょうか?子どもの頃から今まで、潜水が自分の誇りだった。そして昔からのライバルとの勝負を胸に秘め、ここまでやってきた。そんな彼が負けを素直に受け入れられるはずありません。

 

 

そんなエンゾやジャックの心の動きが、映画の終盤にかけて丁寧に描かれています。まさに男のプライドを賭けた闘い。心がジーンと熱くなります。

 

 

男同士の潜水対決も見どころですが、ジャックの恋愛模様も見逃せません。ヒロインのジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は仕事の訪問先でジャックと運命的な出逢いをして、一目で恋に落ちます。そのシーンは映画のわりとはじめらへんにあります。どこか面白くもありますが、ビビッときちゃいますので、ジョアンナになった気分で観るのがおすすめですよ。

 

 

そんなこんなで二人の距離は近づいていって恋人の仲になります。よっしゃあ!って思うでしょうが、切ない事態が起こります。ジョアンナは子どもが欲しくて幸せな結婚生活をイメージするのですが、ジャックはどこか上の空で二人の心はすれ違ってしまいます。

 

 

子どもの頃に海で父親を亡くし、母親もいなかったジャックは、プールのイルカたちが家族でした。家族というものを知らずに育ったジャックにとって、彼女と家庭を築くことに実感が持てなかったようです。ジョアンナがそのことを訴えれば訴えるほど、ジャックはそれよりも海やイルカを強く求めてしまいます。

 

 

ジャックというより潜水士の性とでも言いましょうか、陸での生活よりも海の中にいることを望んでしまう。そんな彼らの心情を理解するにはいい映画です。

 

 

全編を通して、泳ぐ人間のしなやかさやイルカとの遊泳のシーンに惹きつけられます。泳げなくても泳いだ気になれますので、海を体感したい方には楽しめる映画だと思います。あと、ラストは息をのむほど美しく幻想的なシーンです。夏の最後の想い出にのこるようなワンシーンになるはずですので、ぜひお楽しみください。

 

 

 

グラン・ブルー

Le Grand Blue/R15+/1988/仏、伊/169分/監督:リュック・ベッソン/出演:ジャン=マルク・バール、ジャン・レノロザンナ・アークエット、ポール・シェナー