ちょっとそこまで映画を観に行って

映画を観た感想・レビューを書きます。日常から少し離れて、でも気軽に観に行ける映画はいいもんです。

声の届く先(映画『標的の島 風かたか』より)

 

どうしてあれだけ怒って鬼気迫るように座り込みを続けるのか。

三上監督の映画を見るたびに染み込むように分かってきた。

 

 

自分より前の世代が体験した沖縄戦、後の世代の未来。

その間で今生きている自分たちが「風かたか」(=風除け)になるため必死で闘っているからだ。

 

 

日本の軍隊は沖縄住民の命を守らなかった。

戦争でその現実を知っているから、どんなに政府が説明会(肝心な内容は答えない建前だけのもの)を開くと言っても、沖縄の人たちの声を聞く深刻さは持っていない。

 

 

ひとりの人間として純粋に、三線で沖縄の歌をうたう声に心が震えた。

本当に伝えたい強い想いは人を感動させる。

博治さんが警察官に対し、標準語から沖縄口で話しはじめた時もである。

 

 

『戦場ぬ止み』でも思ったが、沖縄の声が届くべきなのはそこに住んでいない大勢の人間たち、警察官として直に声を聞き続ける人間たちだと思う。

 

 

自分の生活を送り、任務を全うする普通の「私たち」だ。

沖縄に住む人たちと同じ「私たち」なのである。

“兵士Aくんの歌”に乗せて映される映像はそのことを訴えている。

自身に降りかからなければ他人事では、もう、すまされないところまできている。

 

 

もうひとつ、三線の日に反対座り込みをしていた男性が、三線にのせて抗議の歌をうたうのは本当は嫌だけどね、と言っていた言葉は忘れられない。

 

 

標的の島 風かたか

2017/日/119分/東風/監督:三上智

http://hyotekinoshima.com/