ちょっとそこまで映画を観に行って

映画を観た感想・レビューを書きます。日常から少し離れて、でも気軽に観に行ける映画はいいもんです。

刮目すべき写真家の生態(映画「Don’t Blink ロバート・フランクの写した時代」より)

Don’t Blink(=まばたきせずに)と言われても、申し訳ない、何度もまぶたが下りてくるのと格闘しながら観ていた。 このドキュメンタリーは展開がはやい。 現像技師の話を聞いていたかと思えば別の友人や20歳で亡くなった最愛の娘の話になる。嫌悪がにじむほ…

声の届く先(映画『標的の島 風かたか』より)

どうしてあれだけ怒って鬼気迫るように座り込みを続けるのか。 三上監督の映画を見るたびに染み込むように分かってきた。 自分より前の世代が体験した沖縄戦、後の世代の未来。 その間で今生きている自分たちが「風かたか」(=風除け)になるため必死で闘って…

“一週間”という毎日(映画「Every Day」より)

同じ時間を一緒に過ごすことに期限があるのはつらい。 どちらかが死んで、どちらかが生き続けるようになるのは、普遍のことで、そのことを頭のなかで分かっている。 でも、何気ない日常は当たり前すぎるから、いつの間にか忘れてしまう。 「一週間もらったの…

記事の紹介をします

今月、記事を載せていただいたtaomoiya雑文集14について紹介します。 イカした写真、というのが初見の印象。白い車のフロントガラスに反射しているネオンや看板。賑やかな街並みの音がきこえてきそう。ハンドルを握る運転手のすがたはなく、そのかわりダッシ…

『ホームレス ニューヨークと寝た男』(2014)

マーク・レイという男が屋上暮らしを続ける理由がよく分からなかった。 上品そうな靴やスーツを着てバリバリ仕事をこなしているようにみせているが、コードやらがむきだしの寝そべるのがやっとのスペースに寝袋で眠る。不法侵入者として捕まらないか、怯えな…

雑文集12にたいする個人的な見解

2016年12月。 あと1ヶ月でなにができるかなぁ、と考えていたら、あっという間に2日が過ぎようとしています。うかうかしていられませんね。 今回も記事を書いています。お世話になっている taomoiyaさんの「雑文集12」に掲載していただきました。 映画『リス…

映画『白いリボン』(2009)<手紙>

※この文章には、映画の核心にふれる内容が含まれています。 長いスカートをゆらして歩くクララたち、そしてマルティンら少年たちが寄り集まって村を歩いていく姿が、恐怖とともに今も思い出されます。 誰が子どもたちをこんな風にしたのか。 父親、という身…

ブログについて/記事がのります

このブログでは、映画について文章を書きます。 ミニシアター系とよばれる分野の映画を中心に紹介していきます。 レビューのようにきちんと形にした文章から、だれかに宛てた手紙のような文章まで、映画の魅力を伝えられるものを書いていきたいと思っていま…

『ふきげんな過去』(2016)

「海苔の本田の奥さん一人だけが正しくて、他が全部狂ってるのかもしれないじゃん」冒頭部の主人公・果子(二階堂ふみ)のこのセリフに心奪われた。 映画は何の説明もなしに会話がはじまる。運河?ワニ?ノリノホンダノオクサン?観ているこっちは正直ポカン…

絶望のなかの希望―『わたしを離さないで』(2010)

※このレビューには物語の結末が含まれております。 主人公のキャシー、トミー、ルースは、臓器提供のために生みだされたクローン人間である。数度の提供がすめば死をむかえ、その短い一生を終える。人間としてではなく臓器をもった道具のような存在にすぎな…

映画『コングレス未来学会議』(2013)

部屋のそうじをしていたら昔使っていた手袋が出てきた。愛着あるもので捨てるかどうか悩んだが、お気に入りの水玉もようや糸のほつれ具合までも懐かしくなり、結局のこすことにした。大切なものときっぱり別れることは難しい。この映画もそんな気持ちを思い…

他者への救い-映画『白河夜船』(2015)

安藤サクラ演じる主人公・寺子は自室のベッドで眠っている。そこに携帯電話の着信が鳴るのだ。「わたしの恋が間違いならば、このベルさえも聞こえないように眠りつづけたい」と彼女の語りが入る。 この冒頭のシーンだけで寺子の不安が的確に表されている。秀…